庭じまいは「体力があるうち」が正解だった
築50年以上の実家の庭。
これまで庭の草むしりは母の役目でした。はさみと手で、こつこつと。けれど高齢になり、足腰が弱くなってからはそれも難しくなりました。
そのまま数年放置。すると、芝生なのか雑草なのかわからない草がひざ丈まで伸び、アジサイやつつじは巨大化。特にアジサイは隣家に越境しそうな勢いでした。
「このままではまずい…」
あと10年後には家を解体するか、売却するかもしれない。荒れた庭では資産価値にも影響しそう。解体費用も余計にかかるかもしれない。
そう考えて、体力が残っているうちに“庭じまい”をすることにしました。
完璧な更地ではなく、「草ボーボーにしない」「管理の負担を減らす」ことが目標。
防草シートか、除草剤か、自力か業者か。試行錯誤しながらたどり着いた、現実的な庭じまいの方法をまとめます。
10年後の「家じまい」を考えるなら、防草シートは不要という結論
将来的に家を解体し、土地を整理する予定があるのなら、高価な防草シートを貼るよりも「除草剤での管理」の方が合理的です。
防草シートは一見便利ですが、10年持つような高品質なものは非常に重く、一人での施工は困難です。また、シートの寿命が来れば剥がして処分する必要があり、家の解体時にも「産業廃棄物」として追加の処分費用がかかる可能性があります。何より、我が家のように勾配や庭石が多い庭では、隙間なく貼ることは難しく、そこから雑草が突き破って生えてくるため、結局メンテナンスからは逃げられません。
ホームセンターで「10年耐久」の防草シートを実際に持ち上げてみましたが、かなり重く感じました。これを一人で広げ、芝生を剥がした後の地面にシワなく敷き、留め具を打つ……。想像しただけで無理と判断しました。さらに、我が家の庭は水はけ用の勾配があるため、シートを貼ることで水の流れが変わる不安もありました。「余計なものを増やさず、土の状態のまま除草剤で維持する」方が、解体時のコストも自分の体力も守れると判断したのです。
「今の楽」だけでなく「将来のゴミ」を考え、防草シートという物理的な壁をあえて作らない選択をしました。
芝生と雑草との死闘!スコップを捨て「三角ホー」を持つべき理由
ひざ丈まで伸びた芝生や雑草を剥がすには、スコップではなく「三角ホー」が唯一無二の正解です。
芝生は網目状に根を張り、土とガッチリと結合しています。あらかじめ除草剤で芝を根まで枯らしても簡単に芝ははがれてはくれませんでした。スコップを差し込もうとしても、根がクッションになって刃が入らず、無理に動かせば土が大きな塊となって付いてくるため、重くて持ち上がりません。一方、農作業で使われる「三角ホー」は、鋭い先端で土の表面を削るように根を切ることができるため、力のない人でも効率的に芝生を「剥ぐ」ことができます。
最初はスコップで立ち向かいましたが、10分で挫折しました。腕はパンパン、進んだのはわずか30cm四方。そこでyoutubeで見た三角ホーを導入したところ、劇的に変わりました。立ったままの姿勢で、芝生の根をザクザクと断ち切ってくれます。ひざ丈までボーボーだった芝生が、みるみるうちに土の見える「管理された庭」へと変わっていきました。三角ホーがなければ、私の庭じまいは初日で終わっていたでしょう。
雑草の部分だけなら土をけずる感じで動かすと草もすんなりとれていきます。芝は完全に根まできれいにとることはできませんが、かなり芝をはがすことができました。
道具選びが、庭じまいの成功の8割を決めます。芝生相手に根性で挑むのはやめ、三角ホーという「先人の知恵」を借りましょう。
抜根はあきらめる!アジサイとツツジを「根まで枯らす」注入術
巨大化したアジサイやツツジを一人で抜くのは不可能です。除草剤の力を使ってこれ以上育たないように枯らす必要があります。
長年かけて育ったアジサイの根は、想像以上に深く、複雑に絡み合っています。
根っこをすべて引き抜こうとすると、ノコギリで周囲を切り刻んでもびくともしません。素人が無理をすれば、腰を痛めるか転倒して怪我をするのが関の山です。
完全に更地にする必要がないのであれば、地上部を最小限に切り、除草剤の力で「再起不能」にさせるのが最も安全で確実です。
大小あわせて12株ほどあったアジサイとツツジ。葉と枝だけ切り落としても翌年芽が出てきました。
根まで枯らさないと翌年意味がないことになりましたね。
特に枝だけ切ったツツジは、翌年根の近くにひこばえという小さな芽がたくさん出てしまい、かえって大変なことになりました。
除草剤で根までしっかり枯らさないと二度手間になることがわかりました。
アジサイは伐根までしようと思い、1つ目のアジサイで抜根に挑戦しましたが、あまりの動かなさに1時間で諦めました。
そこで方針転換。まずは葉があるうちに、吸収移行型の除草剤を散布し、植物全体の活力を奪いました。
その後、大きな枝や葉を切りおとします。根本に近い枝にカッターやノコギリで傷をつけ、そこから濃度の高い除草剤を「注入」しました。
翌年、案の定アジサイの芽が出てきましたが、再度傷をつけて薬剤を塗ることで、完全に入息を止めることができました。
抜根はプロに任せるべき領域です。DIYで行う庭じまいなら、「見た目を整え、成長を止める」ことに全力を注ぎましょう。
1cmの枝も楽々!軽量ラチェット式剪定鋏という「魔法の杖」
大量の枝を処理する場合、普通の園芸ハサミではなく、必ず「軽量ラチェット式剪定鋏」を用意してください。
「ラチェット式」とは、弱い力でも太い枝を切ることができる仕組みです。アジサイやツツジの硬い枝を普通のハサミで切り続けると、数分で握力がなくなりますが、ラチェット式なら1cmを超えるような太い枝も、軽い力で切ることができます。
ツツジの枝切りは、まさに「重労働」そのもの。最初は普通のハサミで挑みましたが、すぐに手のひらが痛くなりました。
自宅には、普通の園芸用ハサミと刈込み鋏しかありませんでした。刈込み鋏は形を整えるのにはいいのですが、枝を切るのは便利ではありませんでした。
剪定鋏が自宅にはなかったのです。youtubeで見ていると刃がカーブしている剪定鋏が便利だということを知りました。早速、ホームセンターに行き剪定鋏を購入しました。ラチェット式で弱い力でも大きな枝が切れるとあったのでラチェット式剪定鋏を選びました。
軽量ラチェット式剪定鋏に変えた瞬間、感動が走りました。サクサク簡単に枝が切れます。このハサミ一つで、山のような枝をゴミ袋20袋分にまで細かく裁断することができました。
軽量ラチェット式剪定鋏のおかげで、枝切り作業の疲労度は半分以下になります。
「終わった後」が本当の始まり。除草剤によるメンテナンス・ルーティン
庭じまいは終着点ではなく「管理のシフト」です。今後は年3回の除草剤散布を生活のルーティンに組み込みます。
土がある限り、雑草はどこからでもやってきます。庭じまいをして土が見えるようになった後は、草を「生やしてから抜く」のではなく、「生える前に抑える」管理に変える必要があります。定期的に粒状の除草剤を撒くことで、草むしりという労働そのものを消滅させることができます。
私は現在、3月(春の芽吹き前)、梅雨明け、10月(秋の雑草対策)という年3回の「粒状除草剤」散布をしています。これにより、ほとんどの雑草は生えてきません。それでもしぶとく顔を出すスギナやドクダミに対してだけ、ピンポイントで強力な液体除草剤をかける。この「予防」中心のスタイルに変えてから、あんなに苦痛だった庭の風景が、「ただ眺めるだけの風景」に変わりました。
「草むしりをしたくないから、除草剤を撒く」。この割り切りこそが、中高年が快適に自宅を維持するためのポイントですね。
まとめ:自分の限界を知り、道具を頼る「勇気」を持つ
今回の庭じまいを通じて、私は「自分でできること」と「業者に頼むべきこと」の境界線をはっきり知ることができました。
・大きな木がないなら、三角ホーと剪定鋏で自分でもできる。
・抜根はあきらめ、除草剤による「根殺」で十分。
・将来の解体を考え、防草シートという余計なゴミを増やさない。
ゴミ袋20袋分を出し終えた日の夕暮れ、土が見えるようになったスッキリした庭を見て、私は久々に深い安堵感を覚えました。アジサイが隣家に迷惑をかける心配もなくなり、ひざ丈の芝生に足を取られることもありません。
もちろん、完璧ではありません。今でも球根の芽が出てきたり、スギナが顔を出したりします。でも、そのたびに「除草剤」という文明の利器を少しだけ使う。
庭じまいとは、庭を捨てることではなく、「自分の体力と、庭の維持費のバランスを整えること」なのだと実感しています。